シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 オオカミがゆかいそうに笑ったところで、彼にそっくりなオオカミがやってきた。
「よう、ペローの。どうした、しけた顔して」
 ペローの、と呼ばれたのはペロー地方の赤ずきん町に住んでいるオオカミだ。
『赤ずきん』のお話も、グリムとペロー、二つの話がある。

「はあぁぁぁ、もうオレはやだよ」
盛大なためいきをつきながらも、ベンチに腰かけると同時に、スッとチキンをつまんでいく。

「何言ってるんだ。お前なんかラストで赤ずきんペロリで終わるんだからいいじゃねえか。オレなんか猟師(りょうし)に腹を()かれるんだぜ」
「よくねえよ。オレはさ、もぐもぐ、こういったさ、はむはむ、調理した肉が好きなんだよ。ごっくん。生きた女の子や婆さんなんか食いたくねえっての」
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