シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「あら、ベオウルフみたいでステキじゃない」
 後ろから声をかけてきたのは、白雪姫のママハハこと(かがみ)魔女(まじょ)さんだ。

「わあ、久しぶりですね。元気でしたか?」
「もちろん、元気だったわよ。……見て!」

 スカートの(すそ)をスッと持ち上げて、かくれていた(くつ)を私達に見せる。鏡の魔女(まじょ)さんはいつでも前向きで背筋(せすじ)がピンとしていて、かっこいい女性だ。

 と、それまで余裕ありげにペローオオカミをからかっていたグリムオオカミが、あわてて自分の目を押さえた。
「ちょっと、姉御(あねご)!こんなとこでおみ足を見せるなんて、何やってんスか!」
「足じゃないわよ。(くつ)(くつ)を見てよ。やっと特注(とくちゅう)のラストシーン用の(くつ)ができてきたのよ」
 そう言って、トン! と皆の中心に(くつ)がくるように切り株に足をのせた。
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