シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 燃えるような真紅の(くつ)は、キラキラとみがかれた赤い宝石がちりばめられている。()き口の周りとかかと、ヒールにかけては赤く染められた鳥の羽根(はね)がつけられ、風にあおられるたびにヒラヒラと(ほのお)のようにゆらめいた。

「きれい……」
「でしょう? 何度も作り直させて、やっと納得(なっとく)いくものが出来たんだよ」
「はあーあ。鏡の(あね)さん、この(くつ)にはずっとこだわってましたもんねえ」

「おいコラ! ペローの! いつまで姉御(あねご)の足をジロジロ見やがってんだ。少しは遠慮(えんりょ)しろ!!」
「えー、いやでも、足を見せてるのは(あね)さんの方だし……」
「だからって、おめえなんかが見ていいものじゃねえんだよ! 目がつぶれるぞ」

 二匹、いや二人の会話を聞いていた魔女(まじょ)さんがクスリと笑う。
「ちょいと、グリムオオカミさん。なんだか私の足が(きたな)いものみたいじゃないかい?」
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