シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「いやっ!(ちが)っ!反対っすよ、反対!!姉御(あねご)のおみ足は、こいつなんかがジロジロ見ていていいものじゃないんス!こいつぁ元々モノの価値ってもんがわからねえヤツで。姉御(あねご)のおみ足を(おが)むにはまず体を清めて、邪念(じゃねん)を払い、賽銭(さいせん)用意(ようい)してからでなきゃ、見ちゃいけないんス!」
「大げさだねえ。私は神様じゃない。ただの一人の女だよ」
「ひ、一人の……おん、な……」

 グリムオオカミは、その(こわ)い毛の下にかくされた皮膚(ひふ)が上気しているのがわかるくらい、顔が真っ赤になっている。本人はかくしているつもりなのかも知れないが、(かがみ)魔女(まじょ)さんにあこがれてるのは、以前からバレバレだった。

 魔女(まじょ)さんは確かに同性の私から見ても、本当にキレイでかっこよくて、あこがれる気持ちは理解(りかい)出来るが、オオカミの(かれ)と、悪役とはいえ王妃の魔女(まじょ)さんとでは、あまりにつりあいがとれなさ過ぎてかわいそうになってくる。

 ……まあ他人のことは言えないか。私がシンデレラの結婚相手となる王子様に片思いしていることをみんなに知られたら、こんな風に(あわ)れまれるんだろうな。
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