シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 「じゃ、私もそろそろ帰るわね」

 (から)になったバスケットを取ると、オオカミ達にあいさつした。

「おう、サンドイッチとチキン、うまかったって妹に伝えておいてくれ」
「今度はハンバーガーがいいって言っておいてくれよ」
「わかった」

 料理のリクエストをするペローオオカミにグリムオオカミがあきれ顔でつっこむ。

「おい、好意(こうい)で食い物用意してくれてるのに、こっちから食いたいもの要求(ようきゅう)するとかやめろよ」
「シンデレラは今アメリカンな気分なんだろ?いいじゃねえか。作りたいものと食いたいものがちょうど合ってて」

「次はイタリアンな気分になってるかも知れねえだろ?」
「ピザでも俺はかまわねえ」
「『かまわねえ』とかえらそーに言うな。何が来てもありがたく食え」

 いつもは悪ぶってることが多いグリムオオカミだが、中身は結構(けっこう)常識派(じょうしきは)だったりする。マイペースなペローオオカミとはいいコンビだ。

「じゃ、またね」と手をふると、オオカミ達が「おおーう!またなー!!」とほえた。
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