シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 お母さんから「何かあったの?」と聞かれても、物語の進行をじゃましたおぼえはないし、この町の住人とトラブルになったおぼえもない。

 思い当たることがあるとすれば、先日の《混沌の森》から帰る時すれちがいざまに嫌味(いやみ)を言ってきた男たちくらいだ。でもあれだってこちらから何か言ったりしたりしたわけではなく、向こうが勝手につっかかってきただけのこと。
 
 とはいえ、一応両親にはその時のことを話しておいた。

 私の話が終わると、思い当たることがあるのか両親はそっと目くばせをした。
 私に見つからないようにしていたみたいだったが、神経質(しんけいしつ)になっていたせいか、しっかり気づいてしまった。
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