シンデレラのないしょ話 ～悪役令嬢だって恋をする～

　私の言葉を聞くと、お父様は「ジャボットももうそんな年になったんだねえ…」と感慨深(かんがいぶか)げにつぶやき、涙をぬぐうような仕草(しぐさ)をした。
　言葉につまったお父様の代わりに、お母さんが話し始める。

「あなたの言葉はうれしいわ。大人になったのね、ジャボット。ただこの件はあなただけの問題ではなくて、この家が、シンデレラというヒロインがいて、同時に彼女をいじめる悪役もいる家という設定だから起こっていることなの。あなた一人が背負(せお)うべきじゃないのよ」

「じゃあ、私が背負(せお)うべき問題かも知れないわね！」