シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「シンデレラ、貴族令嬢(きぞくれいじょう)の置き方ではないよ?」お父様が苦笑いしながらたしなめると、シンデレラも「今はご令嬢(れいじょう)の気分じゃないの」と返す。

 シンデレラはよい子タイムには家事(かじ)をする。
 
 家中のそうじやせんたく、料理などの仕事をお母さんや私から言いつけられてこき使われている設定だからだが、本人も元々そういった事が嫌いではないらしく、特に料理は気分のままに色々なレシピを教わってきては披露(ひろう)する。

 シンデレラときたら見た目こそ「お菓子作りが趣味(しゅみ)なの(はーと)」というイメージだが、その時の興味(きょうみ)の向くまま、世界各国の冒険物語にあこがれてはその地域(ちいき)の料理を作るので、我が家のテーブルには毎日大胆(だいたん)かつワイルドな料理が並べられる。

 先日のBLTサンドやバッファローチキンもアメリカのカウボーイにあこがれて作ったものだが、今はカリブの海賊(かいぞく)興味(きょうみ)がうつり、カリビアン料理を研究中だ。
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