シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「ちょっとお姉様! 聞いてる?!」
 シンデレラのどなり声で、考え事から意識がもどった。
「あ、う、うん。聞いてる聞いてる」
「うそばっかり。もう! お姉様のことなのよ!」
「うん、ごめんね、シンデレラ」

「まあいいわ。いやよくないけど。全然よくないけど。あ、お姉様のことじゃなくてね、このシンデレラ町というか、ううん、童話の国全体がおかしいわよ! 皆、物語の登場人物として役割(やくわり)を演じてるってわかっているはずなのに、悪役を(にな)っている人を役柄(やくがら)と一緒くたに考えるとか、バカなんじゃないの?! 信じらんない!」

 ちょ、ちょっとシンデレラ、ヒロインにあるまじき口調になってる! あわてる私にお父様が目くばせした。「さっき、よい子タイムは終わったよ」と。
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