シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「今日はまた豪勢(ごうせい)ね。エビのソテーなの?」とお母さんがさらにフォローする。
「そうよ! おいししそうでしょう? たっぷりのガーリックとスパイスが、食欲(しょくよく)をそそるでしょ? こっちのココナッツミルクで()いたライスをそえてめしあがれ」
 料理をほめられるとたちまち上機嫌(じょうきげん)になって、サファイアみたいな青い瞳をかがやかせた。

「まあ、そう……ガーリック、を……たっぷり……」
 明日用事があってでかけなければいけないお母さんが、ガーリックの単語に(ひる)んだが、どこ吹く風だ。
 童話の本からは(にお)いが出なくてよかった。ニンニクくさいシンデレラとか、目も当てられない。
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