シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
 私達の会話を聞いている両親や使用人たちが笑顔になっている。
 読者である子供達や、近所の人の目を気にしないでいられるダイニングは、暖かい空気に包まれていた。

 私も今なら言える気がして、勇気を出してこの間のことを聞いてみる。

「そういえば、その……手は痛くなかった?」
「手って、なんのこと?」
「この間、バケツを取り上げる時、手をふりはらった拍子にたたいちゃったでしょ? あと、その前は爪でひっかいちゃった、よね? いたかったわよね。……ごめんなさい」

 シンデレラは一瞬きょとんとした後、ケラケラと笑いだした。
「やーだ、何のことかと思えば。全然なんともないわよ!もう、お姉様は気ぃつかい過ぎなんだから」
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