シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~

「白雪姫」は終わりました

 翌日(よくじつ)、自分の出番を終えてキッチンに行くと、たくさんの料理をつめたバスケットがあった。シンデレラが作っておいてくれたものだ。

 料理にかぶせてある布をめくると、ホットドッグ、カルツォーネ、ブリトーなど、色々な国の料理の中からお弁当として食べやすそうなものを選んである。あの子の気づかいと優しさが素直にしみた。これだけ用意するのに、どれだけかかったんだろう。

 でも羊肉のシャシリーク(串焼き)が入っているのを見た時は、思わず家の羊が生きているかどうか確認(かくにん)してしまった。
 こちらの心配をよそに、羊は庭の草をのんびり食べていた。
< 81 / 160 >

この作品をシェア

pagetop