シンデレラのないしょ話 ~悪役令嬢だって恋をする~
「じゃあ、どうしたのよ」
 クワっと開いた口が一瞬(いっしゅん)止まり、それからゆるゆると顔の筋肉(きんにく)から力がぬけて情けない表情(ひょうじょう)になってしまった。(かた)背中(せなか)もしょんぼりと丸くなる。
「オレのことは(ほう)っておいてくれ」

 (かた)をたたかれふりむくと、ペローオオカミが「(かがみ)(あね)さん、きのう大団円(だいだんえん)をむかえたんだ」と小声で言った。
「えっ?来週(らいしゅう)予定(よてい)じゃなかった?」
「それがさ、七人の小人の誰かが白雪姫のガラスの(ひつぎ)にヒビ入れちまって、こわれないうちに話を進めちまおうってんで前だおしできのう終わったんだ」
「……うそっ!」
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