イケメンアポなし訪問からピュアな恋をはじめます
 彼から大事な話があるって言われたから、プロポーズだと思ったら別れ話だった。

 職場恋愛も考えものだ。
 別れたって嫌でも顔を合わせなくてはならない。

 三連休を前に『大事な話』を持ってきたところだけは褒めようか。
 とりあえず三日間だけは彼の顔を見ずにすむのだから。


「あぁー……もう……このままずっとおばあちゃんの家にいるぅー……」


 連休初日から私は都会を飛び出して、田舎に住む母方の祖母の家に転がり込んでいた。
 居間の畳の上でごろごろ転がりながら、もう仕事も辞めたいし家にも帰りたくない。
 
 三十代を目前にして結婚を意識していた恋人から別れを告げられるなんて、傷口が深すぎる。
 
 おばあちゃんはと言えば私の失恋話を面白そうに聞いては笑って、もう一度聞きたいと何度もリクエストが飛んでくるほど気に入ってしまったようだ。
 
 話す度に笑い飛ばしてくれるから、はじめは笑いごとじゃないのにと思ったりもしたけれど、こんな私の失恋話もおばあちゃん以外の人にもいつか笑い話に出来るのかなと少しは前向きになりつつある。
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