イケメンアポなし訪問からピュアな恋をはじめます
「美里さんはサチさんに会いに?」
「……はい。慰めてもらいに」

 そう答えて、今なら笑い話に出来るかと思い、おばあちゃんに聞いてもらってた失恋話を面白おかしく語っていたら、終わろうとしたところで車がゆっくり止まる。
 おばあちゃんに受けてたようには笑ってもらえず、雅也さんはじっと私を見つめたあと小さく唸りながら下を向いてしまった。
 すべってしまったと思い、私も頭を抱えそうになる。

「美里さん」
「は、はい……」
「それって、今は美里さんフリーってことですよね」
「はい?」
「俺、アプローチしていいですか?」

 雅也さんがそう言って照れながら緊張した面持ちで私の返事を待っている。
 アプローチ宣言なんてされたことがなくて、私は困惑した。
 イケメンなのに?大人なのに?ちょっと会っただけでハイスペックオーラが隠せてないようなひとなのに?

「私、何か気に入っていただけることでもしましたか……?」
「玄関のドア開けてくれたときの美里さんが、かわいすぎて……」

 思い出しながらそう言って、雅也さんは照れを隠すように口元を手で覆った。
 恥ずかしいやら嬉しいやらで私は私で思わず両手で顔を覆ってしまう。

 お互いそこそこいい大人だけれど、ピュアな恋はいくつになっても訪れるものなのかもしれない。
 目と目があって微笑み合うと、もうずっと昔から一緒にいたかのようにあたたかい気持ちになった。
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