【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
 ◆◆◆

 翌日、空は快晴。まるで私たちのことを歓迎してくれているみたい。

 ローレンとチェルシーは私服、私も動きやすいドレスに着替えて朝食前に屋敷を出た。

 馬車に乗って揺られること三十分ほど。どんどんと中心部に近付いているのだろう、人々の賑やかな声が耳に届く。馬車の窓から外を眺めると、市場が開かれているのか、とても人が多い!

「すごいですね……」
「早朝はいつもこんな感じだよ。朝市が開かれているから、結構賑やかなんだ」

 朝市……! とじっと外を眺めていると、彼は「行ってみる?」と提案してきた。その言葉にぱぁっと表情を明るくさせて、こくりとうなずいた。

「じゃあ、近くで降りて見てみよう」
「楽しみですわ」

 近くに馬車を停めて、フィリベルトさまが先に降りる。私に手を差し伸べたので、そっとその手を取って馬車を降りた。そのあと、別の馬車に乗っていたローレンとチェルシーも降りてきて、私たちに近付いてくる。

「なんだかとっても賑やかですね!」
「どんなものが売られているのか、気になります」

 私たちは今日一日、スターリング領を楽しもうと思って気合いを入れていろいろと準備をしたの。

 歩きやすい服装に靴はもちろん、朝食はこの市場でいただこうと思い、屋敷の食事の前に出発したのだ。
< 108 / 146 >

この作品をシェア

pagetop