【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

「ジェレミー、デリック、お前たちのほうがここら辺は詳しかったな?」

 ローレンとチェルシーの隣には、ジェレミーとデリックという、スターリング領の騎士も一緒だ。どうやら、昨日話していた彼女たちとお近付きになりたい護衛、というのは彼らようだ。

 ジェレミーはローレン、デリックはチェルシーの隣にいる。ちらちらと彼女たちを見ているのは、どうやって声をかければいいのか悩んでいるから?

「うーん、なんだかいい匂いがしますね……」
「朝市でいろんなものを売っているので……チェルシーさんは、どんなものが好きですか?」

 チェルシーがくんくんと辺りの匂いを嗅いで、しみじみとつぶやいた。すかさず、デリックが彼女の好みを聞き出そうとしている。

「美味しいものならなんでも! デリックさんは?」
「俺は貝類が好きですね。美味しいんですよ」
「わぁ、食べてみたいです!」

 うん、私も食べてみたい。なんて考えながら、彼女たちの会話を聞いてしまった。

 その一方で、ジェレミーが目をキラキラとさせながら、ローレンと会話しようとがんばっている姿があった。おそらく、ローレンのほうが年上ね。何歳なのかしら、彼。

「ローレンさんは、趣味をお持ちですか?」
「ええ。読書が趣味です」

「読書……。あの、どんな本がお好きなのか、教えていただけますか?」

 と、こちらもローレンのことを知ろうといろいろ質問していた。

 私はフィリベルトさまを見上げる。婚約者と、侍女たち、さらに彼の護衛たちと一緒に歩くのって、なんだかとても楽しいわ。

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