【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
「とにかく、明日は学園を休みますわ。フィリベルトさまを招く手紙を出したほうがよろしいでしょうか?」
「いや、後日と伝えているのだろう? ならば、いつ来るかはあちらが手紙を送るだろう」

 そんなもんかしら? とりあえず、泣き疲れてしまったので部屋に戻りたい。明日、腫れていないといいのだけど……。

「お父さま。絶対に婚約は破棄してくださいませね」
「わかったわかった。今日はもう休みなさい。あとで食事を部屋に運ばせよう」
「……いいえ、今日はいりませんわ」

 食べる気になれなくて、困ったように眉を下げるとお父さまは「そうか」と首を縦に動かした。

 お茶をすべて飲み終えてから、部屋に出て足早に自室へ向かう。

 自室について着替えもせずにベッドに横になった。

 なんだか急に疲労感が襲ってきたわ。……それもそうよね、今日のパーティーに(そな)えていろいろがんばっていたのだから。

「はぁ~……」

 大きなため息をひとつ。

 これからどうするべきか考えていると、扉がノックされた。起き上がってベッドに腰かけ、「誰?」と(たず)ねるとすぐに返事が聞こえた。
< 11 / 146 >

この作品をシェア

pagetop