【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
 そして、十分もしないうちに、フィリベルトさまの目的地について、中に入った。

 ガラス張りの飾り棚に並べられているのはドレスや靴。どうやらスターリング領の服飾店みたいね。どれも繊細な作り込みで、思わず目を奪われてしまう。

「いらっしゃいませ、お待ちしておりましたわ、フィリベルトさま」

 出迎えてくれたのは、女性だった。フィリベルトさまと同じくらいの身長。……なのは、高いヒールを履いているから、かしら?

「そしてリディア・フローレンさま。ようこそ、我が『クローディア服飾店』へ!」
「初めまして、本日はよろしくお願いいたします」

 カーテシーをすると、彼女は「はぅっ」とよくわからない声を上げた。

「彼女に似合いそうなものを頼む」
「かしこまりました。リディアさま、こちらへ」

 そううながされて、私と彼女は店の奥へ。

「わ、ぁ……!」

 思わず、声が出た。店の奥にはドレスがずらりと並んでいたから、とてもきらびやかだった。

 色とりどりのドレスに見入っていると、こほんと咳払いをする音が聞こえて、彼女のほうを振り返る。

「改めまして、クローディア・フローレンスと申します。お会いできて光栄です」
「歓迎ありがとうございます。ここは、貴女(あなた)のお店なの?」
「はい。スターリング公爵家に支援をいただいております」

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