【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

クローディア服飾店

 公爵家の支援を受けている……? と目を(またた)かせると、クローディアはなぜ自分が支援を受けたのかを話し始めた。

「私は幼い頃から、ドレスに関わる仕事をしたいと思っていたのです。手先が器用だったのも幸いして……」

 布の端切れをもらい、パッチワークをすることから始め、いろいろな物を作ったらしい。

 彼女の作った物を見た人は、売ってほしいと彼女の両親に相談したらしく、『売るかどうかはクローディアが選ぶことだから』と言葉を(にご)していたみたい。すぐに彼女の耳にも届き、売ることを決意したとのこと。

 クローディアの作った物は、スターリング領の一部で流行った。

 その流行をキャッチしたエステルさまが、彼女に手を差し伸べてまずは服飾店の見習いとして雇い、いろんなことを学んで自分の店を持つことになった――らしい。きっとクローディアの作った物はエステルさまの心を奪ったのでしょうね。

「――というわけで、このスターリング領で服飾店を開くことになったのです」
「素晴らしいことですわ」

 私の言葉に、彼女は「ありがとうございます」とにっこりと微笑んだ。

「それで、ですね。フィリベルトさまからいろいろお願いをされていまして。こちらをご覧ください」

 シャッとカーテンを開けるクローディア。カーテンで一部屋を区切っていたようだ。中に入るようにうながされ、足を踏み入れて周りを見ると、思わず息を()んだ。そこにあったのは――制服と数多くのドレス。
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