【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
 どうやらその期間を決めなかったのは、わざとだったらしい。

「期間を決めなかったのは、リディアを手放したくなかったからだよ」

 その言葉が心にくすぐったくて、そっと目を伏せた。

「……ということは、期間を決めていたら……?」
「延長する予定だった」

 私が期間のことを口にしなかったから、期間限定(無期限)になっていたのかもしれないわね。婚約破棄された翌日のことだったし、前世を思い出したこともあってまだ混乱していたから、期間のことについて頭が回らなかったのよ。

「婚約するまで?」
「結婚するまで。結婚を許可してもらえたら、もうそれはオレのことを好きになったってことだろう?」

 パチンとウインクをするフィリベルトさまに、笑みがこぼれる。

 どうしてかな、結婚するまで諦めないと伝えられているのだろうけど……その気持ちが、嬉しいなんて……。

「……貴方(あなた)に出逢えてよかった。私に『恋愛』の素晴らしさを教えてくれて、ありがとうございます」
「それは、オレのセリフでもあるよ。きみと出逢った日から、ずっと周りがキラキラとして見えるんだ」

 私への執着心を強く感じる。強く感じるけれど――その執着心が心地良い。

 私を安心させてくれるから、かな?
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