【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
「……フィリベルトさま?」
「……いや、うん。怖がるんじゃなくて、受け入れてくれるのは、嬉しいな」
怖がる? と小首をかしげると、彼はふはっと笑いを噴き出した。ど、どうして笑っているのかしら? と混乱していると、ぎゅうっと抱きしめられる。
「ふぃ、フィリベルトさまっ!?」
「言っただろう? 『オレの愛に、溺れてください』って」
確かに、聞いた。期間限定の恋人を提案されたときに。
「ふふ、フィリベルトさまはずっと、私に気遣ってくれましたよね」
「弱っているときにつけ込んでいる自覚はあったからな。それに……アレクシス殿下に婚約破棄をされたリディアを、放っておけなかった」
その言葉だけで、私は救われる。彼のおかげでアレクシス殿下への未練も、フローラへの感情もいろいろと断ち切ることができたから。
「……」
……でも、そうね。つけ込まれる隙を与えたのは、私。
彼に返事をせずに帰ることだってできたはずなのに、次を望んだのは――……。
「フィリベルトさまが、私を見つけてくれて良かったな、って心底思いますわ」
「それは光栄だ」
抱きしめていた腕を緩め、代わりに両肩に手を置くフィリベルトさま。顔が近付いて、目を閉じると、思っていた場所ではなく額に唇の感触があり、思わず目を開けて彼を見つめた。
彼は悪戯っぽく微笑んで、もう一度顔を近付け、今度こそ唇が重なった。
「……いや、うん。怖がるんじゃなくて、受け入れてくれるのは、嬉しいな」
怖がる? と小首をかしげると、彼はふはっと笑いを噴き出した。ど、どうして笑っているのかしら? と混乱していると、ぎゅうっと抱きしめられる。
「ふぃ、フィリベルトさまっ!?」
「言っただろう? 『オレの愛に、溺れてください』って」
確かに、聞いた。期間限定の恋人を提案されたときに。
「ふふ、フィリベルトさまはずっと、私に気遣ってくれましたよね」
「弱っているときにつけ込んでいる自覚はあったからな。それに……アレクシス殿下に婚約破棄をされたリディアを、放っておけなかった」
その言葉だけで、私は救われる。彼のおかげでアレクシス殿下への未練も、フローラへの感情もいろいろと断ち切ることができたから。
「……」
……でも、そうね。つけ込まれる隙を与えたのは、私。
彼に返事をせずに帰ることだってできたはずなのに、次を望んだのは――……。
「フィリベルトさまが、私を見つけてくれて良かったな、って心底思いますわ」
「それは光栄だ」
抱きしめていた腕を緩め、代わりに両肩に手を置くフィリベルトさま。顔が近付いて、目を閉じると、思っていた場所ではなく額に唇の感触があり、思わず目を開けて彼を見つめた。
彼は悪戯っぽく微笑んで、もう一度顔を近付け、今度こそ唇が重なった。