【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
一歩一歩、着実に進んでいけば大丈夫……よね、きっと。
一定のペースを崩さずに階段を上る。フィリベルトさまは私のペースに合わせてくれているみたい。おそらく、彼ひとりならスタスタと階段を上りきるでしょう。
何段あるかまでは数えていなかったけれど、なかなか長い階段だ。
ようやく上りきった頃には、ちょっと息が上がってしまっていた。
「ここからの景色が、とてもきれいなんだ」
扉を開き、外に出るようにうながすフィリベルトさま。扉の外に出ると――……ふわり、と風が私の頬を撫でる。
――その日の光景を、きっと私は一生忘れない。
夕映えの景色はあまりにも美しくて――……言葉が出てこない。
日中と夜は、竜に乗ってその景色を眺めることができた。でも、この夕暮れ時の景色は初めて見た。空の色、雲の色、夕焼けに照らされる街並み。そのすべてが、とてもきれいなオレンジ色に染まっていた。
「気に入ってくれたかな?」
「はい……とても、とてもきれいですわ……」
声が、震えた。こんなにきれいな光景を私に見せようとしてくれたんだ、と思うとなぜか胸がきゅっとした。きれいな景色を共有してくれたことへの嬉しさと、彼がこの景色を見ていたとき、なにを思っていたのだろうという切なさが混ざり合う。
この時計塔の上から、私のことを想ってくれていたのかな、なんて……。
「絶対に、案内しようと思っていたんだ」
一定のペースを崩さずに階段を上る。フィリベルトさまは私のペースに合わせてくれているみたい。おそらく、彼ひとりならスタスタと階段を上りきるでしょう。
何段あるかまでは数えていなかったけれど、なかなか長い階段だ。
ようやく上りきった頃には、ちょっと息が上がってしまっていた。
「ここからの景色が、とてもきれいなんだ」
扉を開き、外に出るようにうながすフィリベルトさま。扉の外に出ると――……ふわり、と風が私の頬を撫でる。
――その日の光景を、きっと私は一生忘れない。
夕映えの景色はあまりにも美しくて――……言葉が出てこない。
日中と夜は、竜に乗ってその景色を眺めることができた。でも、この夕暮れ時の景色は初めて見た。空の色、雲の色、夕焼けに照らされる街並み。そのすべてが、とてもきれいなオレンジ色に染まっていた。
「気に入ってくれたかな?」
「はい……とても、とてもきれいですわ……」
声が、震えた。こんなにきれいな光景を私に見せようとしてくれたんだ、と思うとなぜか胸がきゅっとした。きれいな景色を共有してくれたことへの嬉しさと、彼がこの景色を見ていたとき、なにを思っていたのだろうという切なさが混ざり合う。
この時計塔の上から、私のことを想ってくれていたのかな、なんて……。
「絶対に、案内しようと思っていたんだ」