【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
 騎士や貴族の男性がするのはわかるのだけど。まぁ、いいか。

 疲れたから、今日はもう休もう。ベッドに横になって毛布をかけて目を閉じると、あっという間に眠りに落ちた。

 ――いろいろなことがあったから、疲れていたのだと思う。婚約を破棄されるところで前世を思い出し、承諾し、他国の男性からプロポーズされたんだもの。

 前世の記憶だけでも頭の中は結構、混乱しているもの。それを整理するためにも、睡眠は大事よね。

 ◆◆◆

 翌朝、ローレンに起こされて目を覚ますと、彼女が目覚めの紅茶を淹れてくれた。ふんわりと紅茶のいい香りが漂い、鼻腔をくすぐる。

「熱いのでお気を付けください」
「ありがとう」

 カップを受け取り、ふーふーと息を吹きかけて冷まし、こくりと飲み込む。温かい紅茶が喉を通り、胃の中に落ち身体がぽかぽかと温まる感覚に、ゆっくりと息を吐いた。

 ローレンが今日の予定を話す。とはいえ、今日はのんびりと好きなことをしていてほしい、と伝えられたわ。……でも、私の好きなことってなにかしら?

 正直、自分の趣味がなんなのか、わからないわ。

 前世の私ならゲームってきっぱり言い切れるんだけど……この世界の私は、王妃教育に追われていて好きなことって言われても、なにも浮かばないのよ。

 紅茶を飲み終えて、着替える。今日はラフな格好をお願いした。どうせ、屋敷内から出るつもりもないし……。
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