【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

ゆっくりと休憩 2話

 ――その竜はずっと独りぼっちだった。

 なぜ自分かここに存在しているのかわからない。

 ただ、そこに『いる』だけだった。

 そんな中、竜は温かな光を感じた。

 ゆっくり、ゆっくりとその光に導かれるように歩を進め、その光に触れた。

 光はすっと消えて、代わりにひとりの少女が現れ、竜に触れて微笑んだ。

『やっと逢えましたね、私の騎士さま』

 ……どうして、どうしてここで一巻、終わりなのよー!

 やっと少女が念願の竜に出会えたのにーっ!

 思わず、ほぅ、と息を吐いてしまった。気になるところで終わってしまって……続きがものすごく気になるわ。

「二巻はないのかしら?」
「その本、発売されたばかりですので……」

 それなら二巻の発売はまだのようね、発売されるまでお預けか! うう、本気で続きが気になるわ……。

 物語は、あるひとりの少女の夢の中に『ここはどこ?』、『独りぼっちは寂しい』と泣く小さな竜が出てきて、『それならわたしがあなたを探しにいくよ。探し当てたら、あなたはわたしの騎士さまになってね』と少女がその竜を探しにいくという内容だった。
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