【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
扇子を広げて口元を隠した。そして、口を開く。
「そうですか」
――ごめん、リディア。貴女のように振舞えない……。一気に前世を思い出してしまったからか混乱が凄まじい。
アレクシス殿下は私の一言に、一瞬呆気に取られたような顔をして、それから怪訝そうに眉間に皺を刻んだ。
「ずいぶんと大人しいのだな。貴女がフローラにした嫌がらせもここで暴こう」
「嫌がらせ?」
首を傾げて問うと、殿下はカッと怒りで表情を険しいものに変える。
……仮にも一国の王位継承者が、そんなにすぐ表情に出るのはどうなのかと思う。
だからこそ、私のような――いや、リディアのような女性が婚約者にされたんだろうけど。
婚約破棄されたなら、それで別に構わないんだけどなぁ。
確か、リディアは公爵の娘だから、殿下と結婚すると血が濃くなっちゃうのよね。
「白を切るな! 貴様がフローラを階段から突き落としたり、嫌がらせをしたり、彼女を傷つけていたことを知っているのだぞ!」
「え、そうなんですか?」
ざわざわとギャラリーが騒ぎ始める。まぁ、いきなりの婚約破棄宣言だったしね。ところで、私、そんなことしていたっけ?
えーと、リディアがフローラにした嫌がらせの内容ってどんなのだったかしら? 中途半端にプレイしていたから、覚えているところと覚えていないところがあるわ……。ちらりと周りに視線を巡らせる。
「そうですか」
――ごめん、リディア。貴女のように振舞えない……。一気に前世を思い出してしまったからか混乱が凄まじい。
アレクシス殿下は私の一言に、一瞬呆気に取られたような顔をして、それから怪訝そうに眉間に皺を刻んだ。
「ずいぶんと大人しいのだな。貴女がフローラにした嫌がらせもここで暴こう」
「嫌がらせ?」
首を傾げて問うと、殿下はカッと怒りで表情を険しいものに変える。
……仮にも一国の王位継承者が、そんなにすぐ表情に出るのはどうなのかと思う。
だからこそ、私のような――いや、リディアのような女性が婚約者にされたんだろうけど。
婚約破棄されたなら、それで別に構わないんだけどなぁ。
確か、リディアは公爵の娘だから、殿下と結婚すると血が濃くなっちゃうのよね。
「白を切るな! 貴様がフローラを階段から突き落としたり、嫌がらせをしたり、彼女を傷つけていたことを知っているのだぞ!」
「え、そうなんですか?」
ざわざわとギャラリーが騒ぎ始める。まぁ、いきなりの婚約破棄宣言だったしね。ところで、私、そんなことしていたっけ?
えーと、リディアがフローラにした嫌がらせの内容ってどんなのだったかしら? 中途半端にプレイしていたから、覚えているところと覚えていないところがあるわ……。ちらりと周りに視線を巡らせる。