【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
突然の訪問 1話
私と視線が合うと、にこりと微笑まれた。……それにしても、改めてフィリベルトさまを見ると、格好良い人なのだとしみじみ思った。王子さまみたい。
あ、公爵の息子だから、王族の血は流れているのか。
燃えるような赤い短髪はオールバックにしていて、額が見える。エメラルドの耳飾りも見えた。あれはピアスなのかしら、イヤリングなのかしら……待って、その色、私の瞳の色!
黒曜石のような切れ長の瞳が私を見て柔らかく細められた。スタスタとこちらに近付き、ぴたりと足を止める。
私よりも頭ひとつ分くらい高い身長。程よく鍛えられているような身体。うーん、乙女ゲームの中だから、こんなに格好いいのかしら?
「昨日ぶりですね、リディア嬢」
「ええ、昨日ぶりですわね、フィリベルトさま。……ずいぶんと、素早い行動ですわね……?」
「こういうのは先手必勝だと父から教わっていまして。……普段の制服やパーティーで着るドレスも良いですが、休日の服装も素敵ですね」
「……ありがとう、ございます……」
本気でそう思っているのか、休日だからってラフ過ぎじゃね? という意味なのかがわからないわ。訝しむように彼を見上げると、そっと手を伸ばして軽く頭に触れ、梳くように手を動かす。
「あの?」
「急いできていただいたようで……」
あああ、穴があったら入りたい! 汗で額に張り付いた髪を拭ってくれたのね!
羞恥で顔を赤くすると、フィリベルトさまは笑みを浮かべたまま応接室にエスコートする。きっと私たちの声が聞こえたのよね。だから出てきたんだわ。
あ、公爵の息子だから、王族の血は流れているのか。
燃えるような赤い短髪はオールバックにしていて、額が見える。エメラルドの耳飾りも見えた。あれはピアスなのかしら、イヤリングなのかしら……待って、その色、私の瞳の色!
黒曜石のような切れ長の瞳が私を見て柔らかく細められた。スタスタとこちらに近付き、ぴたりと足を止める。
私よりも頭ひとつ分くらい高い身長。程よく鍛えられているような身体。うーん、乙女ゲームの中だから、こんなに格好いいのかしら?
「昨日ぶりですね、リディア嬢」
「ええ、昨日ぶりですわね、フィリベルトさま。……ずいぶんと、素早い行動ですわね……?」
「こういうのは先手必勝だと父から教わっていまして。……普段の制服やパーティーで着るドレスも良いですが、休日の服装も素敵ですね」
「……ありがとう、ございます……」
本気でそう思っているのか、休日だからってラフ過ぎじゃね? という意味なのかがわからないわ。訝しむように彼を見上げると、そっと手を伸ばして軽く頭に触れ、梳くように手を動かす。
「あの?」
「急いできていただいたようで……」
あああ、穴があったら入りたい! 汗で額に張り付いた髪を拭ってくれたのね!
羞恥で顔を赤くすると、フィリベルトさまは笑みを浮かべたまま応接室にエスコートする。きっと私たちの声が聞こえたのよね。だから出てきたんだわ。