【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
突然の訪問 2話
さぁ、と風が吹いて花が揺れる。花々の甘い香りが私たちを包み込み、なんだか不思議な気持ちになった。
じっとフィリベルトさまを見つめる。彼は、私の言葉の意味をどう受け取ったかしら?
目を瞬かせたフィリベルトさまは、ふっと目元を細めて微笑んだ。
「恋愛がしたい、ですか。確かに貴族の言葉ではありませんね」
「ええ。ですが私……、昨日、アレクシス殿下に失恋しましたから。失恋の傷を癒すのには恋をするのが一番でしょう?」
まぁ、失恋したのはリディアであって、前世を思い出した私ではない。
今の私なら、きっぱりとアレクシス殿下と婚約破棄できてラッキーと胸を張って言えるわ。
王妃になるつもりなんて、ないもの。あんな重荷を背負いたくない。
さて、フィリベルトさまは、どういう反応をするかしら?
「ではぜひ、私に恋をしていただきたい」
おや、結構強気な発言。
一歩こちらに近付いて、すっと手を差し出した。この手を取るべきか否か、どうしようと考えていると彼はそのまま話し始めた。
「それに、昨日の貴女はなにかに目覚めたような顔をしていました。夢から覚めたような、そんな顔を。私はそんな貴女のこと知りたいと思いました」
私、そんな顔をしていたの?
頬に手を添えて、昨日のことを思い出してみたけれど、わからない。その様子を見て、くすくすと笑うフィリベルトさま。
「私と貴女なら、きっとどんなことでも乗り越えられるでしょう」
「……今の私を知っても、本当にそんなことが言えるのでしょうか?」
「ならば――そうですね、お試しで構いませんので、私と恋人になっていただけませんか?」
期間限定の恋人、ね。なるほど、それもありかもしれない。
疑い深い女でごめんね、フィリベルトさま。
でも、結婚する相手に恋をしたいという、私の気持ちを汲んでくれているのもわかる。
じっとフィリベルトさまを見つめる。彼は、私の言葉の意味をどう受け取ったかしら?
目を瞬かせたフィリベルトさまは、ふっと目元を細めて微笑んだ。
「恋愛がしたい、ですか。確かに貴族の言葉ではありませんね」
「ええ。ですが私……、昨日、アレクシス殿下に失恋しましたから。失恋の傷を癒すのには恋をするのが一番でしょう?」
まぁ、失恋したのはリディアであって、前世を思い出した私ではない。
今の私なら、きっぱりとアレクシス殿下と婚約破棄できてラッキーと胸を張って言えるわ。
王妃になるつもりなんて、ないもの。あんな重荷を背負いたくない。
さて、フィリベルトさまは、どういう反応をするかしら?
「ではぜひ、私に恋をしていただきたい」
おや、結構強気な発言。
一歩こちらに近付いて、すっと手を差し出した。この手を取るべきか否か、どうしようと考えていると彼はそのまま話し始めた。
「それに、昨日の貴女はなにかに目覚めたような顔をしていました。夢から覚めたような、そんな顔を。私はそんな貴女のこと知りたいと思いました」
私、そんな顔をしていたの?
頬に手を添えて、昨日のことを思い出してみたけれど、わからない。その様子を見て、くすくすと笑うフィリベルトさま。
「私と貴女なら、きっとどんなことでも乗り越えられるでしょう」
「……今の私を知っても、本当にそんなことが言えるのでしょうか?」
「ならば――そうですね、お試しで構いませんので、私と恋人になっていただけませんか?」
期間限定の恋人、ね。なるほど、それもありかもしれない。
疑い深い女でごめんね、フィリベルトさま。
でも、結婚する相手に恋をしたいという、私の気持ちを汲んでくれているのもわかる。