【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
ま、こういうのは相手にしないほうがいいわよね。
フィリベルトさまを見上げると、彼は一度ふたりを睨みつけるように目を細めるも、すぐに私に視線を移し、とろけるような甘い表情を浮かべて口を開く。
「はい、私の愛しい貴女」
イケメンオーラ、ほんっとうにすごいわ!
彼の後ろにお花が飛んでいるように見える!
それもバラ。真っ赤なバラ!
似合いすぎて、ちょっと面白い。ここまでやってくれるのだもの、私も応えなくちゃ。
ぽっと頬を赤らめて、彼のことしか見えていないように甘く微笑んだ。
――そう、アレクシス殿下との婚約破棄なんて気にしていないのよ、と――……。
呆然としているふたりを残して、私たちは歩き出す。
……それにしても、昨日から思っていたのだけど、フィリベルトさまは私の歩調に合わせてくれているのか、とても歩きやすいわ。
アレクシス殿下と歩くときは殿下がスタスタといっちゃうから、早足にならないといけなかったのよね、結構高いヒールのときもそうだったから、歩きづらかった記憶があるわ。
「私の顔に、なにかついていますか?」
「いいえ。ただ――……フィリベルトさまはエスコート慣れをしているみたい、と」
「私の国の貴族は慣れているでしょうね。騎士の国なので」
ひそひそと話しながら歩く。
騎士の国だから慣れているってどういう意味かしら……?
あとで聞いてみましょう。ちょっと気になるな、竜の国ユミルトゥス。騎士が多いってことなのかしら?
「我が国が気になりますか?」
「ええ、いつか見てみたいですわ」
「いつかと言わず、今すぐでも構いませんよ?」
今すぐでも……? と目を瞬かせると、彼は上機嫌そうに口角を上げていた。
教室までエスコートしてもらい、さらに私の席までついてきて、椅子まで引いてもらった。本当、完璧なエスコートだったわ。
フィリベルトさまを見上げると、彼は一度ふたりを睨みつけるように目を細めるも、すぐに私に視線を移し、とろけるような甘い表情を浮かべて口を開く。
「はい、私の愛しい貴女」
イケメンオーラ、ほんっとうにすごいわ!
彼の後ろにお花が飛んでいるように見える!
それもバラ。真っ赤なバラ!
似合いすぎて、ちょっと面白い。ここまでやってくれるのだもの、私も応えなくちゃ。
ぽっと頬を赤らめて、彼のことしか見えていないように甘く微笑んだ。
――そう、アレクシス殿下との婚約破棄なんて気にしていないのよ、と――……。
呆然としているふたりを残して、私たちは歩き出す。
……それにしても、昨日から思っていたのだけど、フィリベルトさまは私の歩調に合わせてくれているのか、とても歩きやすいわ。
アレクシス殿下と歩くときは殿下がスタスタといっちゃうから、早足にならないといけなかったのよね、結構高いヒールのときもそうだったから、歩きづらかった記憶があるわ。
「私の顔に、なにかついていますか?」
「いいえ。ただ――……フィリベルトさまはエスコート慣れをしているみたい、と」
「私の国の貴族は慣れているでしょうね。騎士の国なので」
ひそひそと話しながら歩く。
騎士の国だから慣れているってどういう意味かしら……?
あとで聞いてみましょう。ちょっと気になるな、竜の国ユミルトゥス。騎士が多いってことなのかしら?
「我が国が気になりますか?」
「ええ、いつか見てみたいですわ」
「いつかと言わず、今すぐでも構いませんよ?」
今すぐでも……? と目を瞬かせると、彼は上機嫌そうに口角を上げていた。
教室までエスコートしてもらい、さらに私の席までついてきて、椅子まで引いてもらった。本当、完璧なエスコートだったわ。