【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
2章:同じことはしないけど

反撃は、しっかりと 1話

 この学園、どの席に座るかは自由だから……私はいつも、後ろ側の窓際に座っていたので、覚えていてくれたのかもしれないわね。

 彼は私を気遣ってか、隣に座った。なんだか、フィリベルトさまのほうが目立っている気がする。婚約破棄を宣言されたあとだから、いろいろな視線を感じるとは思っていたけれど……まさか、好奇心いっぱいの視線を感じるとは思わなかったわ。

 きっと昨日学園にきていたら、同情やら(さげす)みやらとにかくマイナスな視線を受けていたと思う。

 彼は、それを見越して私に求婚したのかもしれない……なんてね。

 アレクシス殿下とフローラも教室にきて、私たちが隣同士で座っているのを見て、一瞬表情を歪めた。だけど、反対側に座ってくれたから、少しだけほっとしたわ。

 またなにか言われたらたまらない。フィリベルトさまの名誉を傷つけるようなことも口走りそうだしなぁ、あの様子では。

 国際問題なんて私の手に負えないんだから、そこのところをしっかりと考えて行動を起こしてほしいところね。

「なにを考えているのですか、リディア嬢?」
「……今日のお昼ご飯はどこで食べようか、かしら。天気が良いので中庭で食べるのも楽しそうですが、学食の今日のお勧めも気になりますわ」

 ひとり悶々と考え込んでいたら、その思考を断ち切るようにフィリベルトさまが声をかけてきた。なので、考えていたこととはまったく別のことを口にする。きっと、彼も気付いているでしょうけど……その証拠に、ちらりと殿下たちに視線を移してから、肩をすくめてみせた。

 そして、顔を近付けて耳元でささやく。
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