【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

反撃は、しっかりと 2話

 私は早速、これから起こす行動を彼らに伝えた。

 先生はさぁっと血の気が引いたかのように顔を青ざめ、フィリベルトさまはくつくつと喉を震わせて笑っていた。

 自分の身の潔白を証明するためよ。

 それにしても、このままいけばフローラはアレクシス殿下と結婚することになる……のよね?

 大丈夫かしら、彼女。

 王宮での生活に憧れているのかもしれないけれど、とんでもないことになる可能性だってあるのよね。こっちのほうはこちらから手を回しておいたほうがいいかしら? 彼女の中の王妃のイメージを、聞いてみたいものだわ。

 ――彼女に、貴族の意地を見せてあげましょう。

 扇子を取り出して、ばっと広げ口元を隠してにやりと微笑む。先に喧嘩を売ってきたのだから、買ってもいいわよね?

「争いごとはあまり……」
「あら、先生。これは争いごとではありませんわ。私の優しさです」

 にこっと目を細めてみる。

 ――王妃になれば、それで終わりってわけではないことを、しっかりと覚えてもらわないと!

「頼もしいな、貴女(あなた)のその力強さ」
「ふふ、それ褒めています?」

 泣き寝入りなんて、絶対にしてあげない。

 王妃になるというプレッシャーから外してくれたお礼を、たーっぷりと用意しなくちゃね。

 まずは、そう、彼女の身だしなみから。

 確かフローラは男爵家の娘だったはず。

 慈善活動が評価されたと聞いたことがあるわ。その活動にお金を使って、家に使えるお金が少ないと王宮でメイドたちが噂していた。

「王妃になるのでしたら、それなりにいろいろ必要ですもの」

 男爵家の令嬢が王妃になるのだから、道は険しいでしょう。

 まずは、ヘアケア商品から。私が使っている商品を用意して、髪の手入れの仕方から優雅にみえる姿勢、誰にも悟らせない笑顔の浮かべ方――……いろいろ、教えて差し上げましょうね。

 あ、希望する人がいるのなら、その人たちにも教えよう。遠巻きに見ていた人たちもさそってみようかな。
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