【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
反撃は、しっかりと 4話
絶対零度を感じつつ、私は紅茶を飲む。
こんな状況だけど、ローレンの淹れるお茶は美味しいわ。
ほう、と息を吐いて彼女たちを眺める。おろおろとしているアレクシス殿下に、リディアはどうしてこの人が好きだったのかしら、とぼんやり考えた。
ま、それはともかくとして――……。
「八百五十七年、ウォルジーの内乱。八百六十年まで続いた内乱での死者は、おおよそ三百人という少なさでした。その後、内乱を起こしたウォルジー家は処刑され、現在その地は更地のままになっている……でしたわよね、マダム」
おお、よく覚えていたわね、私。
リディアの記憶がきちんと私にもあるって、変な感じ。
だけど、その記憶はリディアがどれくらい王妃教育に耐えていたのかの記憶でもあるのよ。
確かゲームではリディアが辿る運命は国外追放。
冤罪で国外追放されるのはごめん願いたいわ。悪役令嬢が数人いるゲームだったけど、リディアは他の人のルートでも国外追放だったから、不思議だったのよね……。だから、それだけはよく覚えているの。
でも、アレクシス殿下のルートのリディアがどんな断罪を受けるのかはわからないのよね。処刑されないことを祈るばかりだわ。
……そんなことにならないように、こうして動いているわけだけど。
「そ、そんなことを覚えても仕方ないじゃないですかッ」
「仕方ない?」
ピクリとマダムの眉が跳ね上がる。ああ、これは――マダムの怒りを、買ってしまったようね。
歴史を知り政治を知るのは、国政に携わる者の最低限の礼儀だ。それは、次期国王の殿下も同じこと。
確かに周りには手腕の良い人たちが多いけれど、それをまとめるのが陛下の仕事だ。
「人の上に立つ者が、なにも知らないままでよいと思っているのですか?」
こんな状況だけど、ローレンの淹れるお茶は美味しいわ。
ほう、と息を吐いて彼女たちを眺める。おろおろとしているアレクシス殿下に、リディアはどうしてこの人が好きだったのかしら、とぼんやり考えた。
ま、それはともかくとして――……。
「八百五十七年、ウォルジーの内乱。八百六十年まで続いた内乱での死者は、おおよそ三百人という少なさでした。その後、内乱を起こしたウォルジー家は処刑され、現在その地は更地のままになっている……でしたわよね、マダム」
おお、よく覚えていたわね、私。
リディアの記憶がきちんと私にもあるって、変な感じ。
だけど、その記憶はリディアがどれくらい王妃教育に耐えていたのかの記憶でもあるのよ。
確かゲームではリディアが辿る運命は国外追放。
冤罪で国外追放されるのはごめん願いたいわ。悪役令嬢が数人いるゲームだったけど、リディアは他の人のルートでも国外追放だったから、不思議だったのよね……。だから、それだけはよく覚えているの。
でも、アレクシス殿下のルートのリディアがどんな断罪を受けるのかはわからないのよね。処刑されないことを祈るばかりだわ。
……そんなことにならないように、こうして動いているわけだけど。
「そ、そんなことを覚えても仕方ないじゃないですかッ」
「仕方ない?」
ピクリとマダムの眉が跳ね上がる。ああ、これは――マダムの怒りを、買ってしまったようね。
歴史を知り政治を知るのは、国政に携わる者の最低限の礼儀だ。それは、次期国王の殿下も同じこと。
確かに周りには手腕の良い人たちが多いけれど、それをまとめるのが陛下の仕事だ。
「人の上に立つ者が、なにも知らないままでよいと思っているのですか?」