【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
「このままリディアさまが国外追放される予定だったのに~!」

 あ、殿下ルートの私って国外追放されるんだ。へぇ。

 殿下ルート、本当に中途半端にしか知らないから、リディアがどうなったのか気になっていたのよね。どのルートでも国外追放なのか、私。

 それにしてもみんな、痛い子を見る目でフローラを見つめるのはやめてあげて……私も一歩間違えばああなるのか……誰にも言わないでおこう、私の事情。

「このまま国に残るつもりはありませんので、そこは安心なさって? まぁ、里帰りはしますけど」
「ふぇ?」
「フィリベルトさま、私、貴方(あなた)の国に留学してみたいですわ」
「……かけあってみます。オレの留学もここまでにしようかな。目的は達成したし」

 ぱちんとウインクするフィリベルトさま。目的? と目を丸くすると、彼はにっと白い歯を見せた。

「好きな子を見つけるっていうね」

 口調がとてもラフになっているのは、きっとわざとね。でもなぜかしら、なんだかこちらのほうが彼らしいような……そんな気がして、思わず口角が上がる。

 呆然としたようなアレクシス殿下は、縋るように私を見つめている。ばっと扇子を広げて、目元だけで彼を見る。

 殿下、貴方はフローラのことを愛しているのでしょう? と目で語った。

 困惑しているフローラの『ご友人』たちには、私がよく使っている香油を持たせて帰した。現状を理解できていない人たちが多かったけれど……あの香油には対魔力が込められているから、フローラの魅了も効かなくなるはずよ。
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