【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

婚約破棄とプロポーズ 2話

「大体、なぜ私が魔石を運ばなければならないのか、そこを理解しておりますか、殿下?」
「どういう意味だ」

 低く唸るような声に、一度息を吐く。
「授業が終わったらすぐに教室から出ていきましたが……本来なら、貴方(あなた)が荷物当番の日でしたのよ。婚約者の私に押し付けて、殿下はどこに向かわれていたのですか? そもそも、婚約者がいるのにも関わらず、フローラさまと密会していたそうですわね。私への嫌がらせでしょうか? 子どもの頃から次期王妃という重荷を背負わされた、私の立場は?」
「なっ……! やはり王妃の地位を狙っていたのか!」

 あ、……この人バカだわ。

 ……こほん。思い切り呆れた顔をしてしまった。

 私、今、しっかりと『重荷』と伝えたのに。

 王妃になるための教育は、それはもう厳しかった。そんな姿を見てきたはずなのに、彼はフローラに恋をしてしまったのね。別にそれはいい。素直に婚約を解消してくれと頼まれたら、少しは悲しんだかもしれないが、すぐに身を引くことができただろう。

 だけど、私を(おとしい)れようとするのは、はっきりいって気に食わない。

 話の雰囲気が怪しいものになっていくのを感じたのか、フローラがぎゅっとアレクシス殿下の腕に抱きつく。

 悪役令嬢を陥れようとするのはなぜかしら。彼女が王妃になりたいから?
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