【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
私たちの会話に、アレクシス殿下はぽかんとしている。……王族として、その読みやすい表情はどうかと思います。教えないけどさ。
「フローラさま、もう魅了の魔法は使わないでくださいね。では、殿下とお幸せに」
それだけ伝えて立ち上がると、フィリベルトさまと一緒に教室から出ていく。ローレンが片付けてくれるだろうから、そのまま校門で歩いて迎えにきていた馬車に乗って屋敷に帰ることにした。
夕食に誘ったから、フィリベルトさまも一緒に馬車に乗る。
馬車の窓から外を眺める。夕日が沈んでいくところだった。今日のことを思い返して、ちょっとだけ、気持ちがすっとした。
「……面白いものが見られたね」
「本当に。でも、これで悔いはありませんわ」
フィリベルトさまに声をかけられて、そちらに顔を向けて微笑む。彼はどこか心配そうなまなざしを私に注ぎながら、「本当に?」と問いかける。
「ええ。……私は、アレクシス殿下に知っていただきたかったのかもしれません。隣に立つために努力したことを。ほら、あの方、そういうのには疎いので……」
「貴女は本当に……努力家なんだな。羨ましいくらいだ」
「羨ましい、ですか?」
「リディア嬢が王妃になれば、この国の民は幸せだったろう」
……そんなふうに言われたのは初めてだ。
思わず顔を赤くしてしまう。『がんばったね』と認められた気がして、目頭が熱くなった。
「フローラさま、もう魅了の魔法は使わないでくださいね。では、殿下とお幸せに」
それだけ伝えて立ち上がると、フィリベルトさまと一緒に教室から出ていく。ローレンが片付けてくれるだろうから、そのまま校門で歩いて迎えにきていた馬車に乗って屋敷に帰ることにした。
夕食に誘ったから、フィリベルトさまも一緒に馬車に乗る。
馬車の窓から外を眺める。夕日が沈んでいくところだった。今日のことを思い返して、ちょっとだけ、気持ちがすっとした。
「……面白いものが見られたね」
「本当に。でも、これで悔いはありませんわ」
フィリベルトさまに声をかけられて、そちらに顔を向けて微笑む。彼はどこか心配そうなまなざしを私に注ぎながら、「本当に?」と問いかける。
「ええ。……私は、アレクシス殿下に知っていただきたかったのかもしれません。隣に立つために努力したことを。ほら、あの方、そういうのには疎いので……」
「貴女は本当に……努力家なんだな。羨ましいくらいだ」
「羨ましい、ですか?」
「リディア嬢が王妃になれば、この国の民は幸せだったろう」
……そんなふうに言われたのは初めてだ。
思わず顔を赤くしてしまう。『がんばったね』と認められた気がして、目頭が熱くなった。