【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
淡い水色のシンプルなドレスに着替え、ネックレスは細めのチェーンを。一粒だけ輝くダイヤモンドが上品さを感じさせる。大きな宝石がはまったネックレスもあるけど……今の私の趣味じゃないのよね。大きなーすごいなー、とは思うんだけど、大きい宝石のネックレスは重いのよ。
「さて、それじゃあ行ってくるわ」
「はい、お嬢さま」
意を決して自室の扉を開く。――と。
「食堂までお供しても?」
「ふぃ、フィリベルトさま! どうしてこちらへ――……あら、白い服が似合いますね」
「それはありがとうございます。リディア嬢の兄上の服をお借りしました。貴女のそのドレスとネックレス、とてもお似合いですよ」
お兄さまの服だから少し丈が短いみたいだけど……白のタキシードを着ているのは、とても似合っていてまるで新郎のようだ。
……って、私はいったいなにを想像しているのッ!
すっと手を差し出されたので、その手を取って彼を見上げた。
にこりと微笑む彼に、きれいに笑う人だなぁとしみじみ思う。
食堂につくと、すでにお父さまと陛下は座っていた。私たちも座る。すぐに食事が運ばれて、食事を始めることになった。
……すごーく、陛下に見られている気がして顔を向けると視線が交わった。
にこっと微笑む陛下。私もにこっと笑みを浮かべた。……冷や汗が止まらないわ……。