【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
3章:竜の国 ユミルトゥス

竜の国へ! 1話

 大爆笑している彼らを眺めながら、私はフィリベルトさまに視線を移す。彼は涼しい顔でデザートを食べている。美味しそうに食べるわね……いや、そんな観察がしたいわけではなくて。

「さて、それでは聞くがフィリベルトくん。きみはリディアを幸せにできるのかい?」
「リディアさまが私を選んでくれるのでしたら、お約束します」

 デザートを食べる手を止めて、キリッとした表情でお父さまと陛下にはっきりとそう言った。

 私の幸せを約束する、なんて言い切って大丈夫なのかしら、と私もデザートを食べながらフィリベルトさまに視線を向ける。

「なかなか面白い子だね、フィリベルトくん」
「ありがとうございます」

 どうやら褒め言葉として受け取ったらしい。

 とてもきれいにデザートも食べ終えたフィリベルトさまは、私と視線が合うとにこりと微笑んだ。私も微笑んでみせる。

 しっかし、本来なら断罪されて終わるはずの私の未来が続くとは。つくづく事実は小説より奇なり、ね。

 ……ゲームより奇なり、のほうがいいかしら?

「リディア、きみはこのまま国に残るかい? それとも――……」
「そうですわねぇ……」

 この国に残っていても、アレクシス殿下とフローラの婚約や結婚がどうのこうのと巻き込まれそうな気がする。

 私に教えたことをフローラに教えるマダムのことを想像し、彼女が頭を抱える様子も簡単に想像できた。

「――私、留学をしてみたいですわ。私はこの国のことしか知りませんから、他国のことを知りたいのです。もちろん、他国の事情は多少なりとも習いましたが、この目で見て感じてみたいのです」
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