【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
彼は私の言葉にこくりとうなずいた。ここが乙女ゲームの中だからか、とても美形だ。……でも、こんなキャラ、ゲームにいた記憶がない。私が覚えていないだけなのか、それともこことゲームの世界は似て異なる世界なのか……どちらにせよ、私はここで生きているのよね。
さて、どうしようかしら。しんと沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは彼だった。こちらに近付いて跪き、真っ直ぐに見つめられる。
「オレと――……いえ、私と結婚してください」
「……あの、私、先程、婚約を解消したばかりなのですが……?」
「はい。先程の会場に私もいたので、知っています。ですので、私にもチャンスがあると思い、声をかけさせていただきました」
「……では、後日、私の家まできていただけますか? そのときにお話ししましょう」
私は彼にそう言葉を残して、馬車に乗った。御者に馬車を出してもらう。流れる景色を眺めていると、急にぼやけた。
ああ、私――リディアは、殿下のことが本当に好きだったのね。
ぽろぽろ、ぽろぽろと大粒の涙が流れ、ハンカチを取り出して目元を覆う。……でも、もう彼との関係は終わったことだもの。
私はリディア。
前世の記憶を思い出しても、リディアであることは変わらないのだから、しゃんと前を向いていかないと。
ハンカチで涙を拭って、それからゆっくりと深呼吸を繰り返す。
大丈夫、きちんと調べてもらえば冤罪だってわかるはず。アレクシス殿下とフローラのことは、もう割り切るしかない。
家について馬車から降り、すぐにお父さまの部屋に足を進めた。
さて、どうしようかしら。しんと沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは彼だった。こちらに近付いて跪き、真っ直ぐに見つめられる。
「オレと――……いえ、私と結婚してください」
「……あの、私、先程、婚約を解消したばかりなのですが……?」
「はい。先程の会場に私もいたので、知っています。ですので、私にもチャンスがあると思い、声をかけさせていただきました」
「……では、後日、私の家まできていただけますか? そのときにお話ししましょう」
私は彼にそう言葉を残して、馬車に乗った。御者に馬車を出してもらう。流れる景色を眺めていると、急にぼやけた。
ああ、私――リディアは、殿下のことが本当に好きだったのね。
ぽろぽろ、ぽろぽろと大粒の涙が流れ、ハンカチを取り出して目元を覆う。……でも、もう彼との関係は終わったことだもの。
私はリディア。
前世の記憶を思い出しても、リディアであることは変わらないのだから、しゃんと前を向いていかないと。
ハンカチで涙を拭って、それからゆっくりと深呼吸を繰り返す。
大丈夫、きちんと調べてもらえば冤罪だってわかるはず。アレクシス殿下とフローラのことは、もう割り切るしかない。
家について馬車から降り、すぐにお父さまの部屋に足を進めた。