【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
屋敷の中に入り、軽く視線を動かすだけでも立派な家だなぁと感じるくらい、広くて掃除の行き届いた屋敷。
階段を下りてもう少し進んだところに大きな扉があって、思わずごくりと唾を飲んだ。
おそらく、この部屋にフィリベルトさまのご両親がいらっしゃるのよね。
「父上、母上。ただいま戻りました」
「入りなさい、フィリベルト」
トントントン、とノックを三回してから、フィリベルトさまが扉越しに声をかける。
許しを得て扉を開く彼の手を、きゅっと握った。
靴音が響かないように歩き、ソファに座っている人たちに向けて挨拶をする。
「お初にお目にかかります。私――」
「リディアちゃんね!」
「え? あ、は、はい! リディアと申します」
ソファに座っていた女性が立ち上がり、私に近付いてくる。びっくりして挨拶が中途半端な感じになってしまった。
「ああ、嬉しいわ。フィリベルトが『会ってほしい女性がいる』って言っていたから、どんな方なのかと思ったらアレクシス殿下の元婚約者って耳にしてね、会うのがとても楽しみで仕方なかったのよ! そうだわ、紅茶はお好き? 甘いものは? クッキーやマフィンもあるのよ。長旅で疲れでしょう? ほら、フィリベルトもリディアちゃんも座って座って!」
――マシンガントーク!!
マダムでマシンガントークには慣れていたと思っていたけれど、口を挟む隙がなかったわ……。
ともあれ、フィリベルトさまのご両親は、温かく私を出迎えてくれた。
アレクシス殿下の元婚約者ということで、白い目を向けられるんじゃないかと内心ドキドキしていたのだけど……そんなことはなかった。
にこにこと紅茶を勧めてくれたので、ありがたくいただいた。温かい紅茶が喉を通る感覚。ちょっとスパイシーな感じがする。これは……ショウガ?
階段を下りてもう少し進んだところに大きな扉があって、思わずごくりと唾を飲んだ。
おそらく、この部屋にフィリベルトさまのご両親がいらっしゃるのよね。
「父上、母上。ただいま戻りました」
「入りなさい、フィリベルト」
トントントン、とノックを三回してから、フィリベルトさまが扉越しに声をかける。
許しを得て扉を開く彼の手を、きゅっと握った。
靴音が響かないように歩き、ソファに座っている人たちに向けて挨拶をする。
「お初にお目にかかります。私――」
「リディアちゃんね!」
「え? あ、は、はい! リディアと申します」
ソファに座っていた女性が立ち上がり、私に近付いてくる。びっくりして挨拶が中途半端な感じになってしまった。
「ああ、嬉しいわ。フィリベルトが『会ってほしい女性がいる』って言っていたから、どんな方なのかと思ったらアレクシス殿下の元婚約者って耳にしてね、会うのがとても楽しみで仕方なかったのよ! そうだわ、紅茶はお好き? 甘いものは? クッキーやマフィンもあるのよ。長旅で疲れでしょう? ほら、フィリベルトもリディアちゃんも座って座って!」
――マシンガントーク!!
マダムでマシンガントークには慣れていたと思っていたけれど、口を挟む隙がなかったわ……。
ともあれ、フィリベルトさまのご両親は、温かく私を出迎えてくれた。
アレクシス殿下の元婚約者ということで、白い目を向けられるんじゃないかと内心ドキドキしていたのだけど……そんなことはなかった。
にこにこと紅茶を勧めてくれたので、ありがたくいただいた。温かい紅茶が喉を通る感覚。ちょっとスパイシーな感じがする。これは……ショウガ?