【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

ご挨拶 2話

「ごめんなさいね、ちょっとフィリベルトが留学するときの言葉を思い出しちゃって」
「フィリベルトさまの、お言葉……ですか?」
「ええ。絶対にあの国から婚約者を見つけるんだって。小さい頃、出逢った少女を探すんだって聞かなかったのよ」

 フィリベルトさまがあの国に留学を決めたのは、そのため? でも……。

「あの、私が婚約者になってよかったのでしょうか……?」

 きっと、一目惚れした少女を探すために留学したのでしょう。それなのに、私が婚約者になって、本当によかったのかしら? 少女を探していたのでは……?

 彼のご両親はくすくすと肩を震わせて笑っている。そして、フィリベルトさまに視線を向けると、「ちゃんと説明しなかったのかい?」と公爵が首をかしげた。

「そのうち、説明するつもりでした」

 はぁ、と小さく息を吐いて、フィリベルトさまは私を見つめた。ぱちっと視線が合うと、ちょっと言いづらそうに眉を下げてから肩をすくめて、目を伏せて深呼吸をし、微笑みを浮かべる。

「……入学式の日が、初めてではなかったのです」
「え?」
「オレが……私を探していたのは、貴女だったんだ。だから、言い方は悪いけれど、アレクシス殿下が婚約破棄を宣言したときに、付け込ませてもらった」

 そうだったの……!?

 じっとフィリベルトさまを見ると、ご両親が柔らかく微笑んでいて……なんだか一気に()に落ちた。私に好意的だった理由が。
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