【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
ノックを三回して、返事が聞こえてから扉を開ける。お父さまのところまで歩くと、私の目が充血していることに気付いて「なにがあった?」と机に肘をつき両手を組んで口元を隠し、重低音で聞かれてしまった。
私が今日のこと――アレクシス殿下から婚約を破棄することを宣言されたこと、フローラを突き落としたり嫌がらせをしたり、彼女を傷つけたことを公衆の面前で伝えられたこと……それがまったくの冤罪であることを淡々とした口調で話していると、お父さまは椅子から立ち上がり近付いて、ぎゅっと抱きしめて私の頭を撫でてくれた。
「大変だったね、リディア」
「お父さま……」
がんばったね、と頭を撫でられて、また視界がぼやけた。
お父さまがよしよし、と頭を撫でてくれる。
リディアの初恋は見事に散ってしまった。
そのことにお父さまが気付いて、慰めてくれているのね。
優しい家族を持っているんだわ、リディアは。
泣き止むまで私の頭を撫でてくれたお父さま。そっと顔を上げて、ほんの少しだけお父さまから離れた。
私が今日のこと――アレクシス殿下から婚約を破棄することを宣言されたこと、フローラを突き落としたり嫌がらせをしたり、彼女を傷つけたことを公衆の面前で伝えられたこと……それがまったくの冤罪であることを淡々とした口調で話していると、お父さまは椅子から立ち上がり近付いて、ぎゅっと抱きしめて私の頭を撫でてくれた。
「大変だったね、リディア」
「お父さま……」
がんばったね、と頭を撫でられて、また視界がぼやけた。
お父さまがよしよし、と頭を撫でてくれる。
リディアの初恋は見事に散ってしまった。
そのことにお父さまが気付いて、慰めてくれているのね。
優しい家族を持っているんだわ、リディアは。
泣き止むまで私の頭を撫でてくれたお父さま。そっと顔を上げて、ほんの少しだけお父さまから離れた。