【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
「どんな場所なのか、ワクワクしますね!」
チェルシーがぐっと拳を作って、目をキラキラと輝かせた。チェルシーはずっとあの国で育ったから、余計そう思うのかもしれないわね。……でも、全然不安は感じていないようで、そこに首をかしげてしまった。
「……不安はないの?」
「お嬢さまたちと一緒ですもの!」
彼女はそう、きっぱりと言い切った。あまりにもきっぱりと言い切ったので、私とローレンは顔を見合わせて、思わずふふっと笑い声をこぼす。
チェルシーはキョトンとした表情を浮かべていたけれど、自分の言葉に気付いて、照れくさそうに頬をかいた。
「でも、本当ですよ。私、ひとりならきっとこんなふうに他の国にいくことはなかったと思います」
それにはローレンも同意するようにうなずいていた。
私もあのままアレクシス殿下と結婚して、王妃になっていたら、外交で少し国外にいくだけだったと思う。こうして留学の道は、選べなかっただろう。
そう考えると、あのふたりに感謝するべきかもしれない。
選択肢を与えてくれたことを――……。