【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

婚約破棄とプロポーズ 3話

「私とアレクシス殿下の婚約は、破棄してください。それと……竜の国の、えっとフィリベルトさまから、プロポーズをされました」
「――え?」

 キョトンとした表情を浮かべるお父さまを見て、そういう反応になりますよねーと思ったら、両肩をガシッとつかみ、「その話を詳しく!」と目を輝かせるのを見て、こちらがぽかんとしてしまった。

 私がこくりとうなずくと、執事を呼んでお茶を用意してもらい、そのお茶を飲みながらフィリベルトさまのことを話す。

 竜の国、ユミルトゥスの公爵家嫡男。

 留学生としてこの国の学園に通っていた。

 私と話したことは数回しかないはず。前世を思い出す前のリディアと、前世を思い出した私。リディアと名乗っていいのかしら、と一瞬考えた。

 たぶん、ダンスは身体が覚えている。次期王妃教育のことも覚えてはいるけれど……性格はがらりと変わってしまった、と思うのよね。

「後日、家に来てくださるようにお願いはしましたが……」
「リディアはどう思う?」
「……貴族の結婚は義務ですわ。ですが、あのように婚約破棄をされたあとですので、できれば、その……恋を、したいのです」

 その恋の相手がフィリベルトさまになるかは、わからないけれど。

 おそらく、ゲームキャラのリディアならアレクシス殿下の婚約破棄宣言に呆れて……いや、待って。そもそもリディアってどういうキャラだっけ?

 このゲーム、攻略相手によって悪役令嬢が違うから、余計にわからない。
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