【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
「ずっとつらかったね、リディア」
すとんと言葉がこぼれ落ちた。彼女はぎゅっと私に抱きついて、何度も首を縦に振っている。がんばっていたことを理解されず、魅了の魔法で好きな人を引き離された彼女にとって、今の状況はどう見えているのかしら……?
「……でもね、魅了の魔法に引っかかるなんて、とも思っちゃったのよ」
「……ねえ、あなたには、『私』になったあとも、記憶があるの?」
肯定のうなずきを見て、私は息を呑んだ。
それなら、私がフィリベルトさまにプロポーズされたことも、アレクシス殿下とフローラにやり返したことも、この国に留学を決めたことも知っているってことよね。
「……あの、勝手にいろいろ、ごめんなさい」
「どうして謝るの? あなたは『私』なのに」
泣いていたリディアは散々泣いてスッキリしたのか、赤くなった目を擦ってから私を見た。
「ずっと、違和感を抱いていたの。きっと、あなたの前世の記憶がなかったからでしょうね」
くすっと笑う彼女の姿は、愛らしく見えた。それから、ぎゅっと私に抱きついてくる。
すとんと言葉がこぼれ落ちた。彼女はぎゅっと私に抱きついて、何度も首を縦に振っている。がんばっていたことを理解されず、魅了の魔法で好きな人を引き離された彼女にとって、今の状況はどう見えているのかしら……?
「……でもね、魅了の魔法に引っかかるなんて、とも思っちゃったのよ」
「……ねえ、あなたには、『私』になったあとも、記憶があるの?」
肯定のうなずきを見て、私は息を呑んだ。
それなら、私がフィリベルトさまにプロポーズされたことも、アレクシス殿下とフローラにやり返したことも、この国に留学を決めたことも知っているってことよね。
「……あの、勝手にいろいろ、ごめんなさい」
「どうして謝るの? あなたは『私』なのに」
泣いていたリディアは散々泣いてスッキリしたのか、赤くなった目を擦ってから私を見た。
「ずっと、違和感を抱いていたの。きっと、あなたの前世の記憶がなかったからでしょうね」
くすっと笑う彼女の姿は、愛らしく見えた。それから、ぎゅっと私に抱きついてくる。