【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
私の気持ち
その言葉に、思わず声を上げて笑ってしまった。
エステルさまの乙女趣味って、息子のフィリベルトさまはどう思っているのかしら。聞いてみてもいいのかな、とじっと彼を見つめて口を開こうとしたとき――……。
「あ、リディア嬢、こちらに」
「え?」
階段を上がっていくフィリベルトさまについていく。何段階段を踏んだのかわからないくらい、上にいくと……さぁ、と風が頬を撫でた。
爽やかな風が吹いている。心地良くて目元を細めると、フィリベルトさまが空を指して「空を見上げてごらん」と私をうながす。
空を見上げると――満天の星空が、広がっていた。
「……すごい、ですわ……」
夜に輝く星々。そういえば……こんなふうに星空を見上げたこと、あったかしら?
王妃教育に励んでいたとき、ずっと下を見ていたような気がする。――どうしてかな、なんだか急に胸がいっぱいになって、目頭が熱くなった。
「この場所は、オレのお気に入りの場所でもあったんだ。階段がちょっと長いけど、その分空に近付いた気がして」
星を掴むかのように手を伸ばし、ぐっと拳を握るフィリベルトさまに、私はハンカチを取り出して目頭に浮かんだ涙を拭う。
外の空気を思い切り吸い込んで、ゆっくりと息を吐く。それから、私はフィリベルトさまに向かい合った。
「フィリベルトさま、今でも私を望んでくださっていますか?」
「もちろんです。オレが望むのは、これから先ずっと貴女だけですから」
エステルさまの乙女趣味って、息子のフィリベルトさまはどう思っているのかしら。聞いてみてもいいのかな、とじっと彼を見つめて口を開こうとしたとき――……。
「あ、リディア嬢、こちらに」
「え?」
階段を上がっていくフィリベルトさまについていく。何段階段を踏んだのかわからないくらい、上にいくと……さぁ、と風が頬を撫でた。
爽やかな風が吹いている。心地良くて目元を細めると、フィリベルトさまが空を指して「空を見上げてごらん」と私をうながす。
空を見上げると――満天の星空が、広がっていた。
「……すごい、ですわ……」
夜に輝く星々。そういえば……こんなふうに星空を見上げたこと、あったかしら?
王妃教育に励んでいたとき、ずっと下を見ていたような気がする。――どうしてかな、なんだか急に胸がいっぱいになって、目頭が熱くなった。
「この場所は、オレのお気に入りの場所でもあったんだ。階段がちょっと長いけど、その分空に近付いた気がして」
星を掴むかのように手を伸ばし、ぐっと拳を握るフィリベルトさまに、私はハンカチを取り出して目頭に浮かんだ涙を拭う。
外の空気を思い切り吸い込んで、ゆっくりと息を吐く。それから、私はフィリベルトさまに向かい合った。
「フィリベルトさま、今でも私を望んでくださっていますか?」
「もちろんです。オレが望むのは、これから先ずっと貴女だけですから」