【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。
 断言された。そのことにびっくりして目を丸くすると、彼はふわりと微笑んだ。星空に照らされた彼の瞳に、吸い込まれてしまいそう。

「……私は幸せ者ですわね」
「え?」
貴方(あなた)にこんなにも、想われているのですもの」 ――ねぇ、リディア。貴女(あなた)が許してくれるのなら、私はこのまま、フィリベルトさまの(そば)にいたい。

 彼は、私のことをずっと支えてくれた。婚約破棄を宣言された私に、プロポーズしてくれたのはきっと、心を守ろうとしてくれたからだと思うの。

 捨てる神あれば拾う神あり、とはよく言ったものよね。

 私にとって彼は、『拾う神』なのだと感じた。

 拾ってくれた彼に、想いを返したいと考えるのは……悪いことではないわよね?

 それに――きっと、私、この人に惹かれているの。

「私、貴方のことを愛したいと、想っています」

 胸元に手を添えて、真摯(しんし)なまなざしを彼に向ける。

 フィリベルトさまは大きく目を見開いて、動きを硬直させた。それから、「本当ですか?」と震える声で聞いてきた。期待半分、不安半分、そんなふうに揺れ動いているような……切なさをにじませた声だった。

「はい。だから私と――恋愛を、しましょう?」

 にこりと微笑む私に、フィリベルトさまは感極まったように抱きついてきた。
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