仮面の下の素顔~君と出会って世界が変わった~
私、林 湊音は大学3回生。
お母さんと2人暮らし、生まれたときからずっとお母さんだけだった。
お母さんは、仕事人間で私の為に一生懸命働いてくれた。
早朝バイトが終わったあと、お昼ご飯を食べに家に戻った。
「お母さん、ただいま」
「あ、みーちゃん。おかえり~」
お母さんの仕事は知らないけど、この時間はすっぴん。夕方ぐらいになると、化粧をし始めて仕事に行く。
お母さんは、話したがらないから分からないけど多分夜の仕事をしていると思う。
私とは正反対のお母さん。
私は、覚えたてのメイクをして美容院にもなかなか行けないから真っ黒な長めの髪を一つくくりしている。
格好もパーカーとジーパンが基本。
家にいる時、パジャマが高校のときのジャージという今どきの女子とはかけ離れている。
お母さんは、違う。
髪の毛はハイトーンの金髪で、いい匂いする化粧品を沢山も持っててもこもこの部屋着を着て夕方になると真っ赤なワンピースとピンヒールを履く。
「大学の授業料の手紙届いてたよ~」
「あー・・・」
大学の友達は、親が学費を払うみたい。
私は、違う。
「大学で好きなこと学べていいね」
お母さんはそう言ってタバコを吸い始めた。
「うん、今は春休みだから頑張って稼がないと」
「うい、がんばってね。」
そう言って台所に行って換気扇の下で吸い始めた。
私も大学の子と遊びたい。
バイトなんかせず、ギリギリの単位を狙わずにしっかり勉強したいな。
でも自分が選んだし、ぐっと堪えて次のバイトの支度をし始める。
「湊音、今日何時に帰ってくんの?」
最近、お母さんは聞く。
「今日は。居酒屋バイトだから多分1時くらいかも。」
「うい。」
私は、お母さんを見た。
お母さんは、携帯を見ている。嬉しそうな顔をしている。
私は、炊飯器をあけて手のひらにラップをしいてご飯を置乗せて塩をまぶす。
なんとなく、お母さんが同級生で見たことある表情をしている。
私はあんまりそんなお母さんの顔を見たことない。見たくない。
おにぎりを握ってカバンに入れる。
「図書館行ってからバイト行くわ。じゃ。お母さん無理せずね」
「うい~いってらしゃい」
お母さんは、あっさりと私を見送る。
干渉をしないお母さん。
「自分の人生でしょ?自分で決めて」
と私がなにかを決めるときに言う。
無責任・・・
ふいによぎる言葉、全力で左右に首を振る。
おにぎりを食べて、図書館へ行く。本は、好きだ。様々な世界を見せてくれる。
図書館で1冊読んだあと、高校生から続けているコンビニバイト。
18時まで働いて居酒屋でバイトして・・・
「明日もバイト、明後日もバイト・・・」
大きなため息が図書館に響く。