冷徹狼陛下の子を授かりました!

-3-

 エドワード陛下の執務室の前で、過去のことに想いを巡らせていた。腕の中のレオンからは、気持ち良さそうな寝息が聞こえている。

 レオンが飛びついてきた時、いつもとは違う不思議なことがあった。いつもなら触れた瞬間に心の声が聞こえるのに、レオンからは何も聞こえない。心を閉ざしているのか、狼族が特別なのか、今の段階ではわからないけれど大人しく抱かれているところをみると、マリアは嫌われてはいないのだろう。

「レオン様は眠られてるんですよね?」
「そのようです。寝息が聞こえているので」
「信じられない」
「え?」
「レオン様には、城中の者が普段から手を焼いているので」
「こんなに大人しいのに?」
「大人しい? そんなことを仰るのはマリア様くらいです。レオン様の担当になった者は毎日大変なんです」
「そうなんですか? こんなに可愛いのに」

 レオンを見て目を細め愛情深い表情を見せるマリアに、マテオは魅入ってしまう。

「マリア様にお願いもありますし、これからのことも含めてレオン様が寝ている間に陛下と話し合いましょう」
「はい」
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