冷徹狼陛下の子を授かりました!
 ところがマリアを見て毒気を抜かれたのだ。完全に警戒心を解いた訳ではないが、嗅覚の鋭いエドワードがレオンの世話をマリアに任せると言っても異論を唱えなかったことが、全てを物語っている。

 そして、未だマリアの腕の中で眠るレオン。幼い頃に両親を亡くして今までずっと隠された存在となっている。

 皇帝の本当の思惑はわからないが、ウルフリア王国にとってプラスになるようなことはするわけがない。マリアの実家である伯爵家のことも、これから詳しく調査する必要がありそうだ。
 
「来られて早々で申し訳ないのですが、陛下の妻としてだけではなく、レオン様の継母として生活していただきたいと思います」
「あの……」
「はい」
「レオン様が陛下の甥っ子ということは聞きましたが、ご両親は?」
「レオン様が一歳の頃に、事故で亡くなりました」
「えっ、すみません」
「謝る必要はありません。何も知らなかったのですから。それよりも大事なことが」
「何でしょうか?」

 マリアは真剣な顔のマテオに姿勢を正して身構える。

「レオン様の存在は、ウルフリア王国の王城内だけで隠されています」
「……はい」
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