冷徹狼陛下の子を授かりました!

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 一通りの話が終わってマテオが執務に戻り、マリアは腕の中で眠るレオンの寝息を聞きながら生まれてから今日までのことを改めて振り返る。

 いきなり父から追い出されるかのごとく、伯爵家を後にしてウルフリア王国へやってきた。

 小さい頃からマリアの知るブルネリア家は、エラとミラを中心に回っている。

 マリアの母のカミラが亡くなったことで伯爵家の妻の座はエラへと移り、すぐに伯爵家へと越してきたとハンナに聞いた。本来、カミラの死を悼み喪に服すところだが、そんな様子は見られなかったらしい。

 それどころか、カミラの死を今か今かと待ちわびていたのではないかと疑うほどだった。

 幼い頃マリアは、ミラと自分がなぜ差別されるのか意味がわからずショックを受ける。理解できるまでは、傷つき涙したものだ。

 成長過程で、父や継母、異母妹の心の声を聞き、本心を知っていくうちにはっきりと理解する。マリアの存在はブルネリア伯爵家にはお荷物でしかないことを……

 身勝手な父に振り回された可哀想な母。父と結婚していなければ、もっと長生き出来たに違いない。直接手を下された訳ではないが、父の犠牲になったことは明らかだ。
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